眠れぬ王子と猫な僕
第9章 風邪
瑛兎さんと暮らし初めて今日で一週間がたつ。
そして、瑛兎さんが風邪を引いてしまった。
「妖巳、ごめんな。離れてないと風邪が移るぞ……ケホッケホッ」
「だ、大丈夫?僕、明日香さん呼んでくるっ!」
「ああ。ありがとう。」
明日香さんはメイド中で、瑛兎さんが一番信頼してる人だ。
僕は明日香さんが居るであろう厨房へ向かった。
「あ、明日香さん!瑛兎さんが風邪引いて、熱があって……」
「瑛兎様が?教えてくれてありがとうございます、妖巳様。さ、薬を持っていって熱を計らなければ。」
明日香さんはニッコリ笑って、大丈夫ですよと僕の頬を撫でてくれた。
「瑛兎様、熱が38℃と高めです。薬を飲んで寝てください。」
「ああ、そうだな。妖巳、今日は悪いが俺の部屋に入るな。」
「いやだ!瑛兎さんの傍にいる!」
「そんな身体で風邪を引いたら大変だ。明日香、妖巳の相手をしてやれ。」
「やだやだ!瑛兎さんがいいっ」
「明日香、連れていけ。」
「かしこまりました。行きましょう、妖巳様。」
明日香さんは、瑛兎さんに抱き着いている僕を抱き上げようとする。
「やだぁ、瑛兎さん……。瑛兎さんがいい…!」
力の弱い僕は呆気なく引き剥がされ、明日香さんに抱っこされて、部屋をでた。
「うぅッ……ヒックッ………え、と、さん……」
瑛兎さんが見えなくなって、明日香さんの肩に顔を埋めて泣いた。
「妖巳様、この機会に瑛兎様にプレゼントをあげたらどうです?料理ならお教えできますよ。瑛兎様はミネストローネがお好きなんです。」
「ヒック……ほ、んと?そしたら、喜んでくれる?」
「ええ、喜ぶと思いますよ。作ってみますか?」
「僕にも……つくれるかなぁ?」
「もちろんっ。では、厨房に行きましょう。」