眠れぬ王子と猫な僕
第11章 学園と嫉妬と危険な香り
「でも、でもっ!僕だって誰かの役に立ちたぃ………」
瑛兎さんはしばらく悩んで、頬を緩めた。
「はぁ…。妖巳には敵わないな……」
「引き受けてくれるのかっ!?」
「ああ、いいだろう。ただし、止めるときは俺が判断するからな。」
「さすが瑛兎♪話がわかるねぇ」
「それで、作戦としては、妖巳に掃除当番になって貰う。普通に掃除するだけでいい。気に入れば向こうから仕掛けてくるだろう。」
「危なくなったらぁ、すぐに助けるからね♪初めましてなのに悪いねぇ……」
「大丈夫ですっ、がんばります!」
その時、ふわりと身体が何かに包み込まれた。
「妖巳……、愛してる………」
耳元で囁かれて、瑛兎さんに抱き締められていると認識する。
温かくて、瑛兎さんの香りも鼓動も近くに感じる。
瑛兎さんはきっとさっき僕が言った事を思い出して、抱き締めたんだろう。
そう思うと嬉しくて、瑛兎さんの腕に頬擦りした。
「ははっ、くすぐったいよ。」
「あらら〜、イチャついて。見てるこっちが恥ずかしいねぇ♪」
「おぉおぉ、熱いね。二人とも。」
「お前らに言われたくないね。」
瑛兎さんが言い返すと冷さんが立ち上がり、瑛兎さんに何か言った。
(……早く繋がっちゃえよ?)
唐突に瑛兎さんが声を荒らげて
「余計なお世話だ!!」
と、顔を紅くして怒っていた。
すると今度は、愁さんが僕に寄ってきて廊下に連れ出された。
「あの、愁さん…」
「二人はさぁ!……あぁなったら長引くから。こっちはこっちで楽しもうよ♪ね?」
遮るように話し出すと両腕で僕を挟むように壁に手をついた。
「え?え?……愁、さん?」
「ビックリしてる?可愛いね♪…苛めたくなっちゃう。」
「……へ?…ふぁ!」