眠れぬ王子と猫な僕
第12章 甘美な誘惑
朝早く、俺・妖巳・冷・愁の四人は生徒会室に集まっていた。
「二人ともごめんね♪こんな早くに呼び出しちゃって。」
「俺はいいけど…妖巳が……」
「…ん〜?僕がなあ〜に…?ふぅあ〜ぁ……」
よほど眠いのか、目が潤んで頬も紅潮している。
眠たい時の妖巳は決まって甘えたがる。
普段は我慢しているからだろう。
そんなところも凄く可愛い。
「って、この調子だからさ。眠たいみたいだな。」
「瑛兎さん………ぎゅうして?」
そう言って俺の制服の裾をか弱い力でキュッと握る。
思わず顔が緩むのを堪えて妖巳を膝の上に座らせ、そのまま抱きしめる。
妖巳は俺の肩に頭を乗せて、今にも眠ってしまいそうだ。
「いいなぁ〜!冷、僕もあれしてほしい♪」
「はあ?今は仮にも仕事中だぞ。妖巳は可哀想だから許すけど、お前は役員だろ。」
「冷のどケチ!どケチ!どケチ!」
「あ〜もう!後でしてやるから!早く進めろ。」
「やったぁ♪んじゃ、詳しい説明するよ?妖巳は起きてる?」
「まあ、なんとか。」
「…おきてるぅ〜……!」
自分だけ幼児の様に扱われるのが嫌なようで、少し拗ねている。
「可愛い……」
「…///」
耳元で囁くと、さっきより顔が紅くなる。
その顔を隠すためか、俺の胸元に顔を埋めて、本当に弱々しい力で抱き着いてくる。
「ちょっと!僕らが我慢してるのにイチャつかないでよね!!」
「はいはい。」
「もー!んで、作戦は今日からの3日間で行います。って言っても妖巳は普通に掃除するだけね。」
「僕ら三人は別室で待機。ヤバくなったらお助けね?冷が学園長に連絡、僕が彼奴を捕まえて、瑛兎は妖巳をよろしく♪」
「この後、作戦が終わるまで四人の接触は避けたい。俺達と瑛兎達で動くのが理想的だ。」