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第9章 裏と表

なんでっと言いたげな顔をする私に、名取はニヤニヤしながら続けた

「もし、君がいま大声で叫んでも、きっと野原が邪魔するよ。僕だって、君の口を塞ぐ事だって簡単に出来るよね」

「一体、なにがしたいんですか……」

そう聞かずには要られなかった。クスッと笑う声が聞こえ

「君は大切な駒だ。野原にとっても、僕にとっても」

駒……
一体なんの為の……
私は考えていた、意味が分からないけど嫌な予感しかしない。

不安が顔に出てしまう。そんな表情さえ、名取には嬉しいのだろうか、笑いながら私に言った。

「良いね、その顔も凄く好きだよ。
ねぇ、もっと恐がって逃げなよ」

木に置かれた手が離れ、名取が少し離れた瞬間に私は逃げていた。何処に行けばいいのかも分からず、ただ木々の間を走った。


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