テキストサイズ

オレンジ

第13章 真実と罠

そんな私の態度に、野原はムッとした顔で苛立ちを見せた

「用がないなら、部屋に帰るわっ」

そう言った野原が、入り口の方を向いた時だった。

「まぁまぁ、これからがお楽しみなんだからさぁ~」

と入り口の扉にもたれ立っていた名取。一瞬野原が驚いた顔を浮かべ、すぐに澄まし顔に変わる

「あら、何の用かしら?」

「ふふ、お楽しみって言ってるだろ」

ニヤニヤとあざとく笑う名取。二人の間に、ただならぬ空気が包んでいた。

「さて、始めようか……」

そう言い名取が入り口の扉を閉め、鍵をかける。まるで、この部屋からは逃がさないと言っているようで私は怖くなった。

私と野原は、名取の放つ威圧感にジリジリと後ろに下がる。

「な、名取君……
何をするつもりですか!?」

咄嗟に私が言葉を投げる

「君には感謝してるよ、野原を上手く誘きだしてくれたんだから」

「えっ?」

戸惑う私に、名取は野原の方に視線を向けた。

「知らないだろ、彼女は欲しい物は何でも奪う汚い醜い塊……」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ