テキストサイズ

オレンジ

第3章 影の存在と私達

だが、その瞬間中垣の顔色が青ざめ呟いた。

「や、ヤバイ、ヤバイぞ……。来やがった……」

「え?」

と言ってすぐに、廊下に足音が聞こえた。

同時に携帯が震え中垣は、私の後ろに隠れるようにくっついた。私は携帯に出る

「あ、はい!」

と言って、カギの閉まる扉がドンッと大きく音を出し。

電話先から
《開けろ、カギ》

と聞こえた私は、扉のカギを開けた。開いた扉の前で、不機嫌な顔で立つ長谷川を見た中垣は震えながら私にしがみついた。

「な、中垣君? 大丈夫、大丈夫ですって」

そう言ったが、中垣は離れず怯えていた。長谷川が教室内に入ると、空気が重く重圧を掛け、睨む視線が私に向けられた。

「そいつ誰?」

「えっと、中垣君は友達ですよ。今は律が恐いらしくて……」

苦笑いの私に、ふ―んっと言った長谷川。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ