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第5章 離したくない手

けれど、ドキドキする胸の音
冗談だと分かっていても、私の心臓は早く加速していた。

キスされるかと思った
でも内心ホッとしている自分がいて
複雑な気分になった。

ゆっくり上半身を起こしながら、彼を見ると手の包帯に気付いた。私は思わず、その手にソッと触れていた。

「痛くないですか? 大丈夫ですか?」

そう聞くと、彼はプッと吹き出し笑った。

「フククッ、お前なぁ……
俺の事より自分の心配しろ」

「へ? 私のですか?」

良く分からずに返すと、彼は反対に私の手を強く握った。

「そう、そう。現にお前、隙だらけだし
ほっとけない」

「え、そんなに隙だらけですか?」

聞き返すと

「警戒心0だよな、他人の事信用し過ぎなんだよ」

呆れた顔を見せる。

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