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第8章 狂い出す歯車

時間がほんとに止まれば
誰にも見られなかった。

目を見開き、私を見た名取の表情が一瞬だけ曇った。瞬時に、私は前を向き走り出していた。

「ま、待って!」

名取の声が聞こえたが、私は必死だった。
逃げたい、逃げたくて

でも腕を掴まれた。

「――離してっ!!」

そう発し腕を払おうとするが、外れない。名取の声が

「離したら逃げるでしょ、何で泣いてるの?」

「泣いてないです!! 泣いてなんか――」

下を向き強く言った。

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