
美沙子とストーカー女
第1章 一章 美沙子と痴漢
「またか。」と美沙子はぼんやりと思いながら携帯をいじっていた。今見てるサイトには不味いラーメン店を格付した記事が載せられている。口コミを集計したものらしいが所詮それに見合う信憑性であり、美沙子自身食べるなら上手いラーメンが食べたいので別に興味はそれほど湧いていない。まぁ、暇潰しだしと見ているのだが…それにしても毎回よくやるもんだな、と背後に感じる違和感に対して意識をとばす。鞄が当たってるのかなくらいの微妙な接触で、それが意識して当たってるかどうかなど断定することはできないが、それが同じように何日も立て続けに起きたら嫌でも気づくものだ。過去に痴漢された経験があり、そのときはすぐに駅員につきだしたが如何せんその後事情聴取で質問攻めにされたあげくに仕事の時間にも遅れたのでもうその方法はとりたくはない。ぶっちゃけ夜の仕事をしている都合上、セクハラなどには慣れているし今回の痴漢は前のより酷くない。むしろ痴漢といっていいのか怪しいくらいでおまえ痴漢する気あるの?とでも問いただしたいくらいである。いや、毎回混んだ電車の中わざわざ美沙子を見つけ出してやるんだから凄い執着を持っていることは確かなのだけれども。
