トライアングル・ラブ
第38章 変わらぬ絆
「…山ちゃんにも、幸せになってほしい。」
私がそう言うと、沙織は優しく笑った。
クラスメートの誰かが窓を開け、ちょっと肌寒い風が、私たちの髪を靡かせる。
「…ねぇ、沙織は好きな人いないの?」
私はやっぱり沙織の恋愛が気になり、ここぞとばかりに尋ねた。
沙織は、靡いた髪を耳にかけ、切なそうな顔で窓の外を見た。
「…沙織?」
何も答えない沙織。
言いたくない…のかな。
沙織はもともと、自分のことを話す子じゃないし…。
自分だけが沙織に助けてもらっている今の状況に、私は心がいたたまれないが、これ以上聞くのはやめることにした。