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「離して」

「逃げるから、離さない」

「・・・逃げない、から」
「嘘だよな、それ」

耳元でささやく声が、私を貫き、全身を凍らせ硬直させる。逃げないという嘘に騙されない・・・のは当たり前・・・かな。

散々逃げてるし。

囁くのがアキだったら、ゾクゾクして芯が燃えそうなのに・・・身体の反応はとても正直。

こんなところですら、違いを再確認してしまう。

「・・・アイツドコが良いんたよ。明らかに遊んでるだろう？」

アイツ・・・とはアキ、かな。
確かに異性に不自由はしないだろう容姿。モテル、と自覚しているだろうと思う、意識というか自信？

でも、ちゃんと私自身に向けられてると解る好意。例えそれが、ウソだったとしても・・・という例えは悲しいけど、それでも。