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みえない鎖

第27章 根回し

・・・何でこうなったかな?

「言わねぇの?」

アキが私の右首筋に顔を埋めてるから、声かくぐもって聞こえる。

立ってるか押し倒されてるかの違いはあるけど、さっきもこんな感じだったなあ・・・。

それ以上、アキも動かないまま、静寂が部屋を包む。時々聞こえる車が通り過ぎる音がやけに耳につく。

「・・・・・・・・・ア・キ」

返事は返ってこない。

「怒らないで、聞いて?」

返ってきた返事は、声じゃなくて、一瞬ギュっと拘束が強くなった。

アキの行為は悪意はなくて、どちらかというと、善意。それに文句言うのって、思いつつも。

「事前に一言欲しかったな。目が覚めたら、アキいなかったし」

やっぱり、怖かった、昨日。

「今日はいて欲しかったし」

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