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みえない鎖

第29章 絡むしがらみ

「サンキュ、助かった」

言いながら、待ち合わせ場所の向かいの席に座ると、ウェイトレスがタイミングよく注文を取りに来たので、コーヒーを頼む。

「アキにしてはヤケに親切。誰に頼まれた?」

A4の茶封筒を渡してくれる兄貴の婚約者・・・であり、厳密にいえば俺の幼馴染でもあるけど。

「バーの店長。兄貴には言い辛いってさ。彼女に見栄でも張るんだろ」

「ふーん。ハルもアキも負けず劣らず見栄っ張りだと思うけど?」

してやったり、の顔でアイスコーヒーを飲む彼女。待たせたのか、もうほとんど残ってないようだけど。

「・・・一言多いんだよ」

彼女の方が年上だけど、年上という感覚はない。ガキの頃はお姉さんって感じはしてたけどな。

「いつ結婚するんだよ?」

ちょうど運ばれてきたコーヒーに口をつけて聞いてみる。

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