
君がくれたぬくもり
第17章 悪魔の顔
「陽菜…バイトやめる…。」
「………。」
西田さんは陽菜の手に自分の手を重ねた。
「僕は……陽菜ちゃんにはやめてほしくないなぁ?」
優しく微笑む西田さん。
陽菜は俯いた。
「ですよね……店、忙しいし…抜けたら迷惑ですよね…」
西田さんは首を横に振る。
「それもだけど、何より納得がいかない。理由がわからないんだから。」
「あ………」
理由……
陽菜は口を噤む。
陽菜の事情は岳しか知らない。
そして岳以外の人には言わないと約束していた。
「話せないこと?」
コクンと頷く。
西田さんは「うーん…」と腕組みをした。
「とりあえず、陽菜ちゃんは落ち着くまでしばらくバイト休みな?店長には体調不良で入院するとでも言っとくから。」
「はぁ…」
西田さんはそう言うと、更衣室を出て行った。
休み……か。
いいのかな……。
