
君がくれたぬくもり
第21章 サヨナラ
「……泣くな…」
「……起きてたの…?」
岳はむくっと身体を起こしベッドに座った。
そして自分の膝をポンポンと叩き、座れと合図した。
言われたとおりに座ると、ギュッと後ろから抱きしめられる。
岳はズボンのポケットからゴソゴソと何かを取り出し、陽菜の手に入れた。
「陽菜、これ見て。」
「あ…」
手を開くと、そこにはシルバーのリングが。
岳はそれを陽菜から取り、右手にはめた。
岳の右手の薬指には陽菜と同じ指輪がある。
「ペアなの?」
「あぁ…離れてもこれがあるだけで繋がってるみたいだろ?」
ほんと………
不思議だ。
これがあるだけで近くにいるみたい…
「寂しい思いさせるけど、信じて待っててな?」
「うん!!」
「浮気すんなよ?」
「したら?」
「…力ずくで奪い返す。」
「乱暴…(笑)」
二人顔を見合わせて笑いあった。
とても穏やかな朝だった。
