
君がくれたぬくもり
第22章 冬のある日のこと
あれから三ヶ月ほど時が過ぎた。
岳からの連絡は未だないまま、ここに来て初めての冬を迎えていた。
「もうすぐクリスマス…か」
“クリスマスは好きな人と過ごす”
そう夢見ていた陽菜はカレンダーの前でため息をついた。
「ま、仕方ないよね!」
自分に言い聞かせ、部屋を出る。
洗面所の前を通ると、眠そうな顔の光くんが歯を磨いていた。
「ひなひんおはおー」
「おはよ。光くん。」
光くんと大和さんは夏が終わるとこちらに戻ってきたのだ。
口を濯いでニッコリ笑って話しかけてくる。
「今日もバイト?」
「そうなの。行ってくるね!」
光くんに手を振り、マフラーを巻いて家を出る。
そう、陽菜も先月バイトに復帰した。
いつまでも休んでるわけにはいかないし、
一人だと寂しくなるからね。
