
君がくれたぬくもり
第25章 曖昧
あのクリスマスの日から数日。
陽菜はあれから輝雄の家で寝泊まりしていた。
輝雄は何をするにも陽菜に優しくて、
でもバイトの時同様、冗談を言って陽菜を笑わせてくれた。
一緒にいてすごく楽しい人だ。
「もぉ~、ありえない!
輝雄おもしろすぎ!」
「いや、あれはマジだよ?店長の机の引き出しにスイパラの割引券が入ってたんだって!」
「あの頭の堅いゴリラ店長がスイパラ~?(笑)」
何気ない会話で盛り上がる。
今思えば岳とこういう話したことなかったな。
職場の愚痴とか
おもしろかったこととか
一度も話したことないや…。
「陽菜?」
「えっ?」
輝雄に呼ばれ、ハッと我に返った。
「どした?」
「ううん。なんでもないよ。」
陽菜は首を横に振る。
いけないいけない…
岳のことなんかもう忘れるんだった…。
