
君がくれたぬくもり
第30章 オレンジ
空はうっすらと明るくなりはじめていた。
海の向こうを見ると、ゆっくりだが朝日が顔を出す。
しばらくその様子を眺めていた。
だんだんとオレンジ色の朝日が姿を現してくる。
そして数分後、暗かった砂浜が明るくなった。
「わぁ……」
大きなオレンジの朝日…
それはまるで希望の光。
なんて綺麗なんだろう。
「一緒に見たかったなぁ…」
朝日を眺めながら、また涙を流す。
寒がる陽菜に「ここに来い」って包み込むように抱きしめてくれて…
「綺麗だね」って言ったら「あぁ…」って素っ気ない返事が返ってきて。
キスして…
笑い合って…
でも…もうそんなこともないんだ。
陽菜がそれを手放したから。
