
君がくれたぬくもり
第32章 彼女
「…何謝ってんの?
ただの遊びでしょ?」
「……遊び?」
ポカンとする岳。
陽菜はそんな岳を鼻で笑った。
「そう、あ・そ・び!
欲求不満な岳に付き合ってあげただけよ?」
「……はぁ?」
岳の手が陽菜の肩を掴む。
岳を睨むと、岳も同じように陽菜を睨んでいた。
「……何よ?」
「俺は……」
「は?」
「………いや。」
岳は視線を下に落とし、陽菜を解放した。
何を言いかけてたんだろう。
気になったが、早くここからいなくなりたかった。
岳の顔なんて見たくない…
思わず「好き」って言いそうになるから…。
「陽菜、忙しいから行くね。」
「……。」
陽菜は岳に背を向け、部屋に入った。
