
君がくれたぬくもり
第35章 信頼
二人で言い合いをしながらパラソルまで行く。
しかし、パラソルの手前で陽菜は足を止めた。
「もう、岳ちゃん!!
どこ行ってたのよー!?」
ぷぅ、と頬を膨らまし岳に駆け寄ってくる千夏ちゃん。
そんな千夏ちゃんを見て、一気に現実に引き戻された。
「あぁ……わりぃ。」
ぽんぽんと千夏ちゃんの頭に手を乗せる岳に、
千夏ちゃんの頬はほんのり赤色に染まる。
「は、早く行こ…?///」
「あぁ」
千夏ちゃんは岳の腕に自分の腕を絡め、海に行ってしまった。
取り残される陽菜。
―――この前までは陽菜の場所だったのに…。
遠くなる二人を眺めながら唇を噛み締めた。
