
君がくれたぬくもり
第35章 信頼
結局午前中は一度も海に入らなかった。
お昼になり、みんなが帰ってくる。
岳と千夏ちゃんも戻ってきた。
「あれー?陽菜泳ぎに行かんかったん?」
冬美さんが不思議そうに陽菜にそう言った。
「うん。なんか気分悪くて…」
陽菜は苦笑いする。
もし海に入ったとしても、こんな気分じゃ楽しめないよ…。
しょんぼりと肩をすぼめる陽菜に怜香が駆け寄ってきた。
「ちょっと陽菜大丈夫?!」
「大丈夫だよ。」
「やっぱりきつい…?」
「んー…ちょっとね?
でも大丈夫だから!
あっ、かき氷でも買ってこようかな~」
陽菜は通り過ぎる人たちが持っていたかき氷を見て、立ち上がる。
「あっ!
陽菜ちゃんあたしも行く!」
「え…」
お財布を持った千夏ちゃんが陽菜の元に来る。
「あたしもかき氷食べたかったの!」
「あー…うん…行こっか?」
――――……
