
君がくれたぬくもり
第35章 信頼
「はあぁあぁあぁあ!!?」
広いビーチに響き渡る怜香の叫びに近い声。
陽菜と怜香はパラソルから少し離れた木陰でかき氷を食べながら、
先程の千夏ちゃんとの出来事について語っていた。
そして今、すべてを話し終えた。
「……あいつ、見かけによらず腹ん中真っ黒だな!」
かき氷をシャクシャクつつきながら怜香は文句を言っている。
対して陽菜は何も言えず、ぼんやり。
何か短い時間でいろいろあったからか…
ほんとに気分悪くなってきたよ…。
―――『だってフッたのは陽菜ちゃんだもんね。今さら無理だよね!!』
さっきの千夏ちゃんの言葉が頭から離れない。
「普通は…」
「ん?」
「普通は……自分からフッた相手をまた好きになるなんて、いけないことなのかなぁ?」
溶けてジュースになりかけているかき氷をスプーンでぐるぐると掻き回しながら、ぽつりと呟く。
確かに陽菜は岳を傷つけた。
待ってて、って言われたのに、待てなくて裏切った。
でも、好きな気持ちはあの頃と変わらないよ?
それでも…
一度手放したものを取り戻すことはできないのかなぁ?
