
君がくれたぬくもり
第35章 信頼
膝を抱え、しょぼくれる陽菜。
今日はもうため息しか出ないよ…
幸せ一ヶ月分くらい逃がしてしまった気がする。
すると、怜香が言った。
「恋愛にダメなものなんてないよ。好きになっちゃったものはどうしようもないじゃない。」
「……。」
「あたしは陽菜が頑張れば絶対取り戻せると思うよ?
ここだけの話、陽菜は岳兄が本気で愛した数少ない女うちの一人なわけだし?」
「未練たらしいやつだしね~♪」と言ってニカッと笑う怜香。
少しだけ笑えた。
「彼女がいるから何!?
全力で奪っちゃいなさいよ!」
「も~、怜香ったら(笑)」
怜香がいてくれてよかった。
怜香がいなかったらきっと今頃泣いてたよ。
泣いて、一人で苦しみに悶えてた。
「ありがとう」
「ん?何が?」
「そうだよね。恋愛は自由だもんね。」
ジュースになったかき氷を飲み干し、勢いよく立ち上がる。
「ようし、元気出てきた!
もうちょっとのことでめげない!へこまない!」
「陽菜、その意気だ!」
怜香が空に拳を突き上げる。
陽菜も同じように拳を突き上げた。
雲一つない青い空は、曇っていた陽菜の心を清々しい気持ちに変えたのだった。
