
君がくれたぬくもり
第41章 誘拐
「やば!!みりん切れた!
陽菜~、悪いけどスーパー行ってきてくんない?」
ある日の夕方
陽菜は怜香と夕飯の肉じゃがを作っていた。
最近怜香の指導のおかげで料理を少しだけ覚えはじめたのだ。
「みりんだね?わかった!」
怜香に「この瓶のやつだよ」と教えられ、
財布を持って近くのスーパーに走った。
――――――……
「ありがとうございましたー」
いつも愛想のいい店員さんにペこりと頭を下げ、スーパーを出る。
自転車のカゴに荷物を置き、鍵を差そうとしたその刹那…
「ひーなーちゃんっ!」
「!?」
背後から聞き覚えのある声がして
背筋が凍りつく。
振り向かなくてもわかる。
この声は……
「お母……さん………?」
