
君がくれたぬくもり
第45章 逃走
「他人の事なんかどうでもいいだろ!」
「他人じゃない!聞いて、岳…。幸子さんは……岳と怜香のお母さんなの…!」
「……は?」
岳は驚いて陽菜をゆっくりと地上に下ろした。
「……どういうことだ?」
陽菜はわけを話した。
誘拐された経緯…
まだ岳や怜香を想っていること…
岳は戸惑っていた。
それでも必死に頼み込む。
「岳、助けよ…?
お願い……お母さんを見捨てないで…?」
「………。」
「岳……お願い…。」
岳の服をキュッと掴む。
「……はぁ。わかった。
俺が探すからとりあえず陽菜だけでも行け。」
「ほんと…?」
あ、
でも……
「陽菜だけって……
岳はどうなるの…?」
「任せろ。つーかもう時間ねぇ…早く行け。」
岳は再び陽菜を抱き上げる。
―――その時だった。
「あ~れ~?
何やってんだぁ?」
!!!!
