
君がくれたぬくもり
第45章 逃走
「嫌だ…行きたくない……」
首を横に振るが、岳は陽菜を睨む。
そして大きな声で叫んだ。
「泣くな!!!!」
………!!
その一言で目が覚めた。
そうだ
陽菜が今できることは
早くここから出て…
助けを呼ぶこと。
早くしないと岳が危ない。
「………っ…」
陽菜は男たちに見つからないよう、こっそり走り出した。
―――――……
まず向かったのは、あの牢獄。
捕らえられた女性を解放するために…
―――ガチャガチャ
――バンッ!
中に入ると、女性たちは隅に固まり身を寄せて震えていた。
「………陽菜!
さっきから何の音?」
幸子さんが慌てて駆け寄ってくる。
乱闘の騒ぎはここまで聞こえていたのか…
「幸子さん、皆さん、逃げましょう!静かに出口まで走ってください!
外に出たら警察に助けを呼んでください!」
「陽菜、どういうことなの…」
「時間がないの!岳が死んじゃうかもしれないの!」
