
君がくれたぬくもり
第45章 逃走
男たちは岳を取り囲み、一斉に攻撃し始めた。
完全に身動きのとれなくなった岳は陽菜を呼ぶ。
「いや!!やめて!!」
―――バキッ、バキッ
その人を殺さないで……
その人は陽菜の1番大切な人なの……
いなくなったら陽菜は生きていけないの……
だから、お願い…
「っ!陽菜!!」
「岳……っ」
岳は身体の至る所を蹴られ苦しそうにもがく。
その時、岳の口元が動いた。
陽菜をしっかりと見つめ、
何か言葉を紡いでるようだった。
「なに…?」
何て言ってるの……?
そうこうしているうちに岳はさらに激しく痛め付けられる。
「陽菜っ……に………」
“に”?
…………あ!
“に”
“げ”
“ろ”
逃げろ?
でも……
じゃあ岳はどうなるの?
岳を置いて行くなんて……
絶対絶対嫌だよ……っ
