
君がくれたぬくもり
第49章 mother
―――…
「ただいまぁ…」
靴を脱ぎ捨て、ふらふらと部屋に向かう。
するとタイミング良くリビングの扉が開いた。
出てきたのは怜香。
何だか慌てているようだった。
「あっ!陽菜おかえり!
ちょっと来て!大変なの!」
無理矢理腕を引かれ、リビングに入る。
疲れているのに…
しぶしぶ顔を上げる。
「あ……」
「久しぶり!」
笑顔でそう言う綺麗な人……
幸子さんだ。
「お母さんが会いに来てくれたの!」
怜香は嬉しそうに陽菜に抱き着いた。
陽菜も自然と顔が綻ぶ。
「事件のことが落ち着いたから来たの。怜香、美人になっててびっくりしたわ…」
幸子さんの目にうっすらと光るものが見える。
よかった…
幸子さん、二人に会わせる顔がないって
今さら許してもらえない、なんて言ってたけど
許してもらえたんだね。
