
君がくれたぬくもり
第49章 mother
「よかった……ね…」
「うん!
あ、岳兄どうだった?」
――――ドキッ
いきなり会話に出てきた“岳”に陽菜はぎょっとする。
「陽菜?」
「ん……あのね……
別れよ…って、言われちゃった…」
シーーーン…
その場の空気が一気に凍りつく。
「は…?別れよって…え?」
「岳に…ふられちゃったぁ」
だめだ……
視界がぼやけてくる。
それでも必死に笑顔を作る。
すると怜香がバンッとテーブルを叩いた。
「意味わかんない!なんで!?」
「怜香、落ち着きなさい。」
慌てふためく怜香の肩を幸子さんが抑える。
「だって…岳兄が陽菜をふるなんてありえないよ…あんなに陽菜、陽菜って言ってたのに……。」
怜香はそう言うと、泣き出してしまった。
陽菜もこらえていた涙が溢れ出す。
そんな二人を幸子さんは優しく抱きしめてくれた。
