
君がくれたぬくもり
第6章 煙草
家に帰ると誰もいなかった。
PM8時か…
みんな出かけてるのかな。
さっきの和哉の言葉が頭から離れない。
――『不感症なんじゃねぇかな』
――『全然気持ち良くなんねぇんだって!』
「どうしたらいいの……」
ソファの上で膝を抱えて泣く。
大概のことは
努力次第でどうにかなる。
でも…
身体のことはどうにもならないよ……。
その時、ふわりと煙草の匂いに包まれた。
「…!?」
「一人で泣くな……」
「が……く……ッ」
どうして岳はいつも
陽菜が泣いてる時に現れるのかな?
「うわぁーーーん……」
岳のTシャツを掴み、思いっきり泣き叫ぶ。
岳は黙って陽菜の背中をさすってくれた。
