
君がくれたぬくもり
第2章 新しい場所
ひとしきり泣き落ち着くと、
岳は陽菜の手を握り、部屋を出た。
「……どこ行くの?」
「帰ろう。
送ってやるから…」
帰る………?
どこに?!
「……帰らない」
「………。」
陽菜は足を止めた。
岳はそんな陽菜を不思議そうに見る。
しかし何も言わず、陽菜を引っ張ってホテルを出た。
「………。」
無言でついていくと、先ほどの歩道橋の下に来た。
大きなバイクが一台とまっていて、一瞬で岳の物だとわかった。
……“岳―Gaku―”って書いてあるしね。
「……乗れ。」
岳は陽菜にヘルメットを渡すと、自分もヘルメットをかぶった。
「……うん…」
そして岳の後ろに乗る。
岳は陽菜の手を自分の腰に回させた。
「落ちたくなかったらつかまってろよ?」
「ん………」
そしてバイクが走り出した。
