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恋のかたち

第6章 夏休み

食器の合わさるカチャカチャという音に目が覚めた

秋豊の姿はベッドにはなく、優愛のネグリジェも乱れてはいない

急いで起き上がり、リビングに出た

コーヒーの香りが広がるリビングは、凄く爽やかで、喫茶店のような雰囲気を醸し出している

カウンターテーブルには、程よく色付いたトーストとふわふわしてそうなスクランブルエッグと小鉢にサラダとオレンジもついている

2人分の朝食が並べてあるのだ

秋豊は、コーヒーをカップに注ぎながら、リビングの秋豊の部屋の前にボーッと立つ優愛をちらっと見た

「よぅ、起こす手間省けたな。顔位洗えよ」

カップを受け皿に置きながら優愛に言う

優愛もようやく我に返り、はいっと返事するのと同時にバスルームの洗面台に向かった

顔を洗い、タオルで拭き、鏡の中の自分を見た。
少し寝癖で跳ねた髪に気づき、ショックを受けた

自室に入り、寝癖を直してリビングへ戻った

「おはようございます。秋豊さんすごいですね!豆から挽いてるんですね」

改めて朝の挨拶をし、秋豊が使用した機具を指差し、目を輝かせて言った

「ふぎゅっ」
優愛から変な声が上がる

秋豊が少し睨み顔で優愛の鼻を摘んでいた

ようやく離してもらえた優愛は、久しぶりの秋豊の顔にたじろいだ

「いっ・・痛い~」
鼻をさすりながら涙目で言う

「ふんっ、ノロマ」
秋豊は、悪態ついて先に席についた

優愛も恐る恐る後に続き、秋豊の隣に腰を下ろした

2人はいただきますと言って食べ始めた

スクランブルエッグを口に運ぶ優愛

「おいしい~!!」

口に甘味とふわふわの卵のとろける味わいに舌鼓を打った

「ふんっ当たり前だろ。俺が作ったんだ」
隣からつーんと音が聞こえそうなほどに不機嫌そうな秋豊

「あ・・あのぅ~」
ギロっと視線を受け、たじろぐ

「お前さぁ…まぁもういいや。おい、早く食え」

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