NO VOICE LOVE
第4章 夜空の下で
「…俺さ、もう1つ好きなものが出来たんだ」
真っ赤な顔をした未夢の瞳が
ゆっくりと旭を見つめる。
声でコミュニケーションが取れない分、
未夢は普通の人よりも複雑な感情を、
表情で表現できるようになっていた。
旭を見つめる未夢の表情は
まさにその複雑な顔をしていて、
その顔がまた旭の理性をくすぐる。
自分の気持ちに気づいてから、
まだ少ししか経っていないのに
好きという気持ちが膨らんで、
胸を圧迫して仕方ない。
こうして未夢の髪に触れる間にも、
この気持ちが爆発してまいそうだった。