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第5章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 1

直後、有無を言わさず、合わさる唇。

そして、何か、味のない固形物を口移しされる感覚。・・・あの時の的場君の様に。

若干の抵抗は試みるものの、飲み込まない、という選択肢はやはり与えられていないらしく、

あの時と同じように、喉を通る・・・何か。

本来なら静寂ではなく、虫の音とか聞こえる筈なのに、何故か静寂で、飲み込む時、コクンッと喉を通る音が響いて、

漸く離れる唇。斎の濡れた唇が、やけに・・・艶めかしい、と思った。

と同時に、何か飲み込まされる行為は嫌だけど、唇を合わせること自体に、嫌悪感は無いんだ・・・と再確認。

だって、その艶めかしい唇が、気になって仕方がない。

「物欲しそうだ」

ニヤリと笑う斎。お見通し、なのだろう。

「欲しいなら、言いな」

「・・・・・・キス、して」

さっきまでの混乱とか、戸惑いとか、恥じらいとか、その辺をどこかに置き去りにしたまま、私は何の躊躇いもなく、斎に懇願して、

当然の様に重なる唇の感触だけを、身体に刻み込んだ。

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