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第5章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 1

私の声がどんどんか細くなるのと対照に、斎の声はますます楽しげになっていく。声が、弾んでる。

目に映るか細い灯りと同じように、私の中の気持ちも何か、霞みがかり、何かに囚われるような・・・。

「的場君は、どこに、いる、の?」

この雰囲気を壊したくて、とりあえず口に出した問い。でもこの質問は間違っているのか、正しいのかすら・・・もう解らない。

「そうだな、履行途中のチェックもしたいし・・・」

そう言うと、音も無く、座っていた樹から降りて来て。

「焦らなくても会わせてやるよ、今から」

言いながら近づいてくる。逃げるべき?でも、どこに?

思考回路が停止して立ち尽くす私の腕をグイッと引き、一気に斎の左腕の中へ。片腕なのに・・・動けない。逃げられない。

「絢乃」

私を拘束していない方の指によって強引に顔をあげさせられると、近距離であう視線。

「ショックを事前に和らげてやろうか?」

その誘いは何?ショックって何?
混乱が深くなる。

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