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第6章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 2

バサリと音がする方に目をやると、斎が永依さんにシーツをかけてあげるところで、

流石に裸のまま感情剥き出しにしていたけれど、ある程度吐き出して我に返ったのか、永依さんは身体にシーツを巻き付け、ベッドに腰掛けた。

「私が、嵩明と離れなくても済む方法は、貴方と契約を、というけど・・・」

永依さんの視線の先は、未だ縛られている、松浦健市に注がれる。

「契約して、あの男は無罪放免?」

「それも契約時に願えばいい。どうして欲しい?出来ない事は何もない」

出来ない事は何もない。本当だろうか? 斎は何でも出来るの?

でも、言い切られると、その言葉に嘘は無いかも・・・と思わせる。その力強い魔力の様な、響き。

「多分、契約というものをしたら、私も嵩明と同じ様に、元には戻れないのでしょうね」

問いにうなずく。肯定の返事を返す、斎。

・・・契約しても、学校に通い、普通に暮らすお嬢様、佐倉紗香もいるというのに。

的場君や永依さんには、現実を捨てさせようとする。

その違いは、何?

問いたい衝動に駆られる。けれど、口を的場君に塞がれ続けている今、それすらも出来なくて、ただ見守るだけ。

的場君や斎が望む・・・観客、として。

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