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第6章 case3 【貴方ニ効果的ナ"復シュウ"ヲ】 2

沈黙が、部屋を支配する。

斎の問いに対する、永依さんの返事待ち。彼女の未来を左右する、決して軽くは無いものだけど。

斎と的場君は、この沈黙の中、何を考えて・・・違う。斎は案外何も考えてない、かも。

「ンンンンンンンンーーーーッ」

沈黙を破ったのは、さるぐつわの隙間から、呻く声。この場にいて存在を忘れそうな彼、だった。松浦健市。

「黙れ」

的場君の、聞いた事のない低く、冷たい声が響く。

「ンンンッ、ンンンーーーーーーーッ」

「黙れッ、お前はそこ」
「的場、落ち着け」

「しかしッ」

的場君の横顔に、憎悪が張り付いている。

「落ち着いて、嵩明。迷っていた訳じゃないから」

「決めたのか?」

問う声は、斎。

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