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第10章 case5 【私ヲ見テ】 1

・・・斎は急に寂しがりや、になったみたい。斎自身は何も言わずにふらりと出かけるくせに。

とはいえ、出かける事の出来る範囲は、学校の敷地内に限られている。

敷地外、というものに渇望と恐れを持っているらしい、斎。

私を切望する理由は、行動範囲が縛られている自分自身と真逆の、己の術にかからないいつでも自由で有れる私が羨ましいから、

という理由もある、と年末、家に帰る前に明かしてくれた。

ただ、斎の認識は少し間違っている、とは思う。

確かに斎の術には的場君の様にきっちりかかりはしないけれど、恋愛要素によって、私は斎に縛られている。

私の気持ちと斎の気持ちが同じ、ではない部分は若干の寂しさは憶えるものの、

当初の“お気に入りの玩具”扱いよりは格段にいいし、嬉しいとも思う。

後は、純粋に好きという気持ちを持つというか・・・自覚してくれると嬉しいのだけど、

ヒト、ではない彼には難しいこと・・・かも知れない。

ただ、斎も私も離れるという選択肢は無い以上、そのまま居られれば・・・。

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