テキストサイズ

contract

第10章 case5 【私ヲ見テ】 1

「言う事を聞かない駒は必要ない」

「黒幕が、契約者、なのですか?」

「そういう事」

さっきから、駒、とはっきり言う。切り捨てたい意思表示だろうか・・・それとも、契約者全てが彼の駒、だろうか?

その問いは、今聞くべきではないから、口にはしない。代わりに別の問いを口にする。

「黒幕が失態を晒すかどうか、解らないのでは?」

「あの黒幕の計画は絶対成功しない。というか、成功しようものなら、壊してでも失敗させる」

「姫様も、巻き込まれますか?」

「実行犯のターゲットは金本悠里だが、黒幕のターゲットは間違いなく・・・絢乃だ」

そこまで解っていながら、何故?

「色々段取りがある」

「どんな?」

・・・それ以上は、何も言わなくなる。深くソファに座ったまま、腕を組み、足を組み、何処か遠くに目線をやって

・・・何やら試行錯誤している様子。そして、一言ぽつりと呟いた。

「いずれ、解る」と。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ