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第10章 case5 【私ヲ見テ】 1

「斎様、このまま姫様に隠しておくのですか?」

「この際だから、泳がせる。黒幕の失態を待つ」

的場と永依が、絢乃たちが学校にいる間に聞かされたのは、手紙を置く実行犯の名前だけ。

実は実行犯を操る黒幕もいるようなのだが、そこは教えて貰えず仕舞い。

というか、彼も表向き生徒である筈なのだけど、今日は堂々とさぼっている。

元々学生をする必要性・・・ないと思うのだけど、前に聞いてみた所『酔狂な暇つぶし』という返事が返ってきた。

「手出しはするなよ?的場」

「しませんが、姫様が・・・」

絢乃は相当怒っている。それは斎にも解っている。ただ・・・。

「そろそろ無駄な駒を切りたい」

斎には、的場や永依以外にも契約者はいる。

普段は、契約したことをひた隠しにし、何事も無かったかのように学園生活を送る者たち。基本は、そういう人たちの方が多い。

的場や永依の様に、元の生活と切り離されて、全く新しい人生を送る方が実は稀なのだ。

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