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第10章 case5 【私ヲ見テ】 1

私の知らないところで、実行犯どころか黒幕さえ、斎の手のひらの上で遊ばされる運命・・・に、新たな展開があった。

「・・・え?」

悠里ちゃんと同じような白い無機質な封筒が、私の下駄箱にも今日は置かれていて、

『藤沢絢乃様』と書いてある。

「これって・・・?」

悠里ちゃんは未だ来ていないらしく、下駄箱の中は上靴がまだある。その上にも、何時もと同じように手紙。多分、悠里ちゃんあての手紙は何時もの内容。

でも私の、は?

「ふーん」

最近学生という表向きの生活をさぼりがちの斎だったけど、今日は珍しく一緒に登校していて、

背中越しに封筒をのぞき込んでいるけど、『ふーん』っていうどうでも良いような返事は、何よ!?

と最近のそっけない態度の斎に、怒り再燃・・・する前に。

ピッと私の手から抜き取られる封筒。

「貰っとく」

「え?ちょっと!?」

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