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第10章 case5 【私ヲ見テ】 1

何時もより、口調が・・・荒い気がする。

「気が、立ってる?」

何となくそんな感じがして、恐る恐る聞いてみると。

「絢乃に対して何かする奴は、誰であろうと許す気は無い」

これは喜ぶべき?

「行けば?」

斎が言いつつ指を挿した先には悠里ちゃん。

「行くよ。おはよっ」

そのまま悠里ちゃんに駆け寄って、私は斎の方を振り返らなかった。



樹かあるこの周辺は、若干薄暗い。今日の天気が曇りなのも、何時もより薄暗くしている要因ではある。

カサリと地面の枯葉が泣く。踏むことによって。そして見つける、白い塊。

拾い、丁寧に広げ、中身を取り出す。

「ふーん」

やはり、絢乃か見れば動揺を誘う物が入っていて、見せなかったのは正解だったらしい。

中身を用意したのは、確実に黒幕。その証拠にもなりうる写真。

「愚かだな」

目の前にいない黒幕に向かって、斎は吐き捨てるように呟いた。

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