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第12章 case6 【オ前ヲ貶メタイ】 1

簡単に捕まえられた、右手首。細くて華奢な彼女に、捕まえておきながらドキリとする。

「屋敷まで、送りますよ」

今は何を言っても無駄だろう。でも、このまま帰す気にはならず、最低限の譲歩と、最低限の希望を口にする。

「・・・嫌よ」

即答される言葉は、否定。でも、何時もの様な、勝気で振り払ってしまうようなそんな力は無く、

ぽつりとつぶやいた言葉の弱さに、それ以上何も言わず、持った手首を離さない程度の力を入れたまま、ゆっくりと歩き出せば、

珍しく、振り払う事をせず、左斜め後ろについてくるお嬢様。

今日はこのまま弱っている彼女に対して、言葉は悪いけど、弱みに付け込む事にする。こんな機会はめったにないと解っているから。

「大丈夫。俺は見捨てはしませんよ」

別に斎がお嬢様を見捨てたとは思っていないけど、ワザとそう言ってみると、ピクリと反応したのが、掴んでいる手首から伝わる。

優しくして、心の隙間に入り込んで、いずれは斎ではなく俺の方を向かせる、最初の一歩を踏み出した。

---黒田生徒会長side 終了---

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