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元々佐倉家は男系であり、女が生まれる可能性は少ない一族だった。だから、いつも佐倉家長男は一定の年を迎えると、宴に出て女を抱いた。

宴の後、最初に子を孕み、出産した者と結婚させる。

残りの女は、縛りはしなかったので、大概においては、元の家に戻っていったが、たまにそのまま愛人として住む者もいた。

そう、宴はいつも、佐倉家直系の男1人に対して、数人の女があてがわれるのが普通だったのだ。

今回は初めて、出産したのは女のみで、その後懐妊しなかった。愛人もいたが、その女も男を出産することは無かった。

別に男に拘っている心算は無かった。直系が1人いるのだから、存続と言う点では困りはしなかったが、

今回の佐倉紗香という召使は、主人であるわたしの言う事を一番聞かなかった、大変疲れる女で、

自我を奪い、操れる状態になるまで、身体に毒をこっそり入れ続け、待ち続けるのには結構疲れた。

ただ、佐倉家の人間は、私にとってなくてはならない駒だ。そこに自我は、必要ない。

意志ある召使から、意志無き奴隷に、ようやく身を落とす事が出来るその暗い喜びに、笑みを浮かべずにはいられなかった。