テキストサイズ

contract

第17章 case7 【貴方ニ引キ摺ラレル】 2

・・・実は帰れないと覚悟してたんだよね・・・。

実家の玄関ドアの前。何となく、懐かしく思って、暫し佇んでみる。それもその筈。前は1年前の夏。斎から逃亡したあの時。

まさか、ねえ?

がっつり受け入れるとは思わなかった。

「黄昏んのは後にしろ。たんまり話がある」

感慨深く耽っていた私を律儀に待っていてくれたらしい均さんは、そう言って、インターフォンに手をかけ・・・。

「お帰り」

タイミングよく開いたドア。そして懐かしい、父の姿を見る。

「へえ?」

均さんは父の顔を見てそう言った。

「・・・何だ?」

父も、何かと思って均さんを見る。

「アンタでも親の顔するんだな」

・・・相変わらず失礼な事を言う、というか遠慮が無い男だった。

「一人娘だからな」

ただ、父はそんな遠慮のない男に対しても、態度を崩す事は無く、言葉を返す。

父と均さんの間は、結構遠慮がいらない間柄?みたい?という印象。つき合いは・・・長いのだろうか。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ