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第19章 case8 【私ニ伸ビル複数ノ手】 1

・・・懐かしい。

そして次の日。

いつの間にか出されていた“休学届”が効力を発揮し、“ずる休み”になっていなかった事を、学校で知り、

久しぶりに普通に教室に入り、普通に勉強する。

皆とは10日ずれていただけなのに、夏休みも合わせて、だからなのか、しきりに思う感情は、ただひたすら、懐かしかった。

「お父さんの調子が悪かったって聞いていたけど、大丈夫?」

そう言ったのは、友達の悠里ちゃんで。

思わず、抱き着いちゃう私も、どうかしているのかも、しれない。

「大丈夫、だよ」

「ど、どうしたの」

「何でもない。ちょっと嬉しくて」

何気ないものが嬉しいって思う。ちょっとおかしい。でも嬉しい。

ただ、目の色の事については、誰も触れなかった。試しに悠里ちゃんに聞いてみたけど、

「目の色?変わってないよ。珍しいけど綺麗よね、その青色」

と言うので、どうやら元々の色は黒ではなく青、という認識を持ってくれたらしい。

斎が先手を打ってくれていた様だった・・・のだけど。

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