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第19章 case8 【私ニ伸ビル複数ノ手】 1

びっくりした。いないと思っていた人が、目の前にいたから。

「・・・たかの、さん」

苗字だけは、さっき授業中に先生から当てられていたのを見て、解った。

名前を呼んでしまった後、無視すべきだったかな?とも思った。相手の素性が全く分からないから。

「かたっぐるしいなぁ。高野さん、なんてぇ~。まぁいっか。さ、行こうねぇッ」

と言って、手を引っ張る。

何処に!?

「嫌、行かないから」

「なぁんでよ?用があるのに」

「私にはありません」

「香奈には用があるのよぉ」

・・・多分、下の名前カナ、というらしい。

「行こうよぉ。色々教えてアゲルからっ」

斎をここで待つのは、マズイかもしれない。目の前のタカノカナがいる以上。

とりあえず、目の前の人撒いてから電話するか、さっさと屋敷に帰っちゃうかした方が、良いかも。

「いいですッ」

立ち上がり、目の前の鞄をグッと持って、駆け出、そうと思ったけど、逃げられない。

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