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第19章 case8 【私ニ伸ビル複数ノ手】 1

・・・お蔭で、午後の授業は、全然身に入らなかった。切り替えたくても、何処か混乱していたから。

午前中は、嫌いな教科でも久しぶり感満載で楽しかったのに。

やっぱり、存在自体が私には実感ないけど“一族”という人たちが、あれこれ斎の対して何かしようとしている、というのは昨日と今日で、嫌でも実感出来てしまった。

放課後、何か言ってくる?と必要以上に警戒していたけど、クラスの中を見回すと、既に姿は無く、逆に拍子抜け・・・。

「帰らないの?あ、先輩待ちだよね、また明日ね」

と悠里ちゃんが、彼氏の斎藤君と仲良く帰っていくのを少し目で追う。

いいなぁ・・・。

アレが普通の姿だと思う。カレカノの。

斎が普通じゃないのは、さんざん自覚済み。でもやっぱり関係性は歪だから、凄く羨ましい。

「いいなぁ・・・」

改めて思ってしまって、今度は口に独り言として、吐き出された。

「何がぁ?」
「ひっ・・・」

「何、がイイのかなぁ?」

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