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第3章 case2 【貴方ガ欲シイ】 1

「佐倉紗香の、部屋」

ぽつりと呟いたのと同時に、バタンッッとこれまた乱暴にドアを閉める斎。ドアは閉まらず、やはり跳ね返り部屋と廊下の間に隙間を作る。

「・・・機嫌悪い」

ちゃんと閉めてよ・・・とため息交じりに再度呟く。

このままドアを閉めればいいだけのこと。私には関係のないこと。

ドアノブを掴んでいるのだから、そのまま閉めればいいのに、動かせないでいる。目線はあの先の・・・隙間から外れない。



・・・・・・・・・。



そろり、とドアをゆっくりと開ける。古い洋館のドアはきしむ音が簡単に・・・出るから。

閉める筈だったドアを開け、音を立てないように慎重に歩いた先は・・・佐倉紗香の、部屋。

ドアの隙間から、覗く。

自制心と、好奇心と、言い表せない何かと、を内包し、ぐちゃぐちゃになった感情と葛藤しつつ。

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