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第21章 case9 【思惑乱レル妨害ノ手】 1

「俺は」

と珍しく、一人称を僕から俺に変更して、

「紗香の子はある意味誰でも良かった。誰の子のでも紗香の子なら良い。とりあえず、妊娠させたという事実さえあれば、後は咲楽斎が俺を選び、俺を紗香の伴侶にする、と・・・・・・」

・・・密約が、あった?のかどうかはここで口にしなかったけど、それらしいニュアンス。

視線を落とし、唇を噛む。黒田生徒会長の顔に浮かぶ表情は、負のモノ。

呑気に聞いている場合ではない。叫び、逃げるべき、なのだけど、も。

窓から見える景色はどこか澱んで昏い。部屋の中も既に暗く、普通なら電気をつけないと見えない筈の表情も、

何故か苦にならないくらいはっきり見え、

学校内でありながら、どこか切り取られた別世界の様な感覚でいた。

・・・それでも、逃げないといけない訳だけど。

「それくらいで良くない?話が長いよぉ・・・」

沈黙を破ったのは、場を読めないのか読まないのか。とにかく、マイペースな門番。

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